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USB-パラレル+シリアル変換

FT245系(FT245AMやFT245RLなど)はFuture Technology Devices International Ltd(FTDI)のUSB−シリアル(RS232C)+パラレル(8bit、D2XXと呼ばれている)変換チップ。
秋月電子通商などで入手可能。組み立て済みのモジュールを売っているので使い易い。

シリアルはFT232系と同じなので、FT232のページを参考にしてほしい。
ここではパラレル変換の方を述べる。

準備

まずは、D2XX(パラレル出力)用のライブラリを取ってくる。
どうもファイルシステムとして機能するため特にドライバは必要としならしい。カーネルの再構築も必要ない。

ライブラリには2種類ある。
ひとつはFTDIが配布している公式版。もうひとつは、オープンソースのライブラリで、「libftdi」というもの。
libftdiはRPMが用意されていてDebianの公式パッケージにもなっているので公式版の方がインストールの手間が多い。
どっちがいいかとなると、Windows用のプログラムも作る気があるなら公式版を使ったほうが関数の互換性があっていいかも。
やりやすいのはlibftdiだと思う。新しいカーネルにも対応が早そう。
詳しくはドキュメントを参照のこと

libftdi」は上述したようにパッケージを使えば簡単にインストールできるのでインストール方法は特に述べず、まず、公式版のD2XXライブラリのインストールについて述べる

公式版D2XXライブラリのインストール

カーネルバージョン2.4用らしいけど、2.6でも動く。

  • D2XX用ファイル置き場からLinux用D2XXライブラリをダウンロードする。
  • 適当な場所に展開(解凍)
  • インストールは http://www.ftdichip.com/Drivers/D2XX/Linux/README.dat を参考。以下簡単な流れ
  • ライブラリを移動
    cp libftd2xx.so.0.4.13 /usr/local/lib/
  • シンボリックリンクを作成
    cd /usr/local/lib/
    ln -s libftd2xx.so.0.4.13 libftd2xx.so
    ディストリビューションによっては「libftd2xx.so.0」。Debianではこうだった。
  • /usr/libにも一応シンボリックリンクを作成
    cd /usr/lib
    ln -s /usr/local/lib/libftd2xx.so.0.4.13 libftd2xx.so
    または
    ln -s /usr/local/lib/libftd2xx.so.0.4.13 libftd2xx.so.0
  • ファイルシステムとしてマウントされるように「/etc/fstab」に
    none /proc/bus/usb usbfs defaults,mode=0666 0 0
    と記述(2.6からusbdevfsではなくusbfs)すでにマウントされているかも
  • mount -a としてマウント。
    というのが、README.datの内容だが、すでにfstabやmtabに「/proc/bus/usb」をマウントするように記述されている場合は
    mount: none already mounted or /proc/bus/usb busy
    mount: according to mtab, procbususb is already mounted on /proc/bus/usb
    というエラーが出るので、上の2ステップ(fstabへの記述)は不要。

接続してみる。

つないだ後、

# dmesg

を実行すると

usb 7-3.1: new full speed USB device using ehci_hcd and address 5
usb 7-3.1: configuration #1 chosen from 1 choice
ftdi_sio 7-3.1:1.0: FTDI USB Serial Device converter detected
drivers/usb/serial/ftdi_sio.c: Detected FT232BM
usb 7-3.1: FTDI USB Serial Device converter now attached to ttyUSB0
ftdi_sio ttyUSB0: FTDI USB Serial Device converter now disconnected from ttyUSB0ftdi_sio 7-3.1:1.0: device disconnected
usb 7-3: reset high speed USB device using ehci_hcd and address 3
usb 7-3.1: new full speed USB device using ehci_hcd and address 6
usb 7-3.1: configuration #1 chosen from 1 choice
ftdi_sio 7-3.1:1.0: FTDI USB Serial Device converter detected
drivers/usb/serial/ftdi_sio.c: Detected FT232BM
usb 7-3.1: FTDI USB Serial Device converter now attached to ttyUSB0

と表示される。これはシリアル変換部分なので表示はFT232系と同じ。

# lsusb

では

Bus 007 Device 013: ID 0403:6001 Future Technology Devices International, Ltd FT232 USB-Serial (UART) IC

という表示だった。

ftdi_sioというシリアル変換用のモジュールが動いているとエラーになるみたいだが、僕が使っている分にはこのモジュールが動いていても問題なさそうだった。
もしエラーが出るようなら

# lsmod

で動いているモジュールを表示して、ftdi_sioがあるようなら

rmmod ftdi_sio

とやって止める。

プログラム作成

両方のライブラリともサンプルプログラム(C言語で記述されている)が添付されているので、それをコンパイルして使ってみる。
ただしrootでないとデバイスにアクセスできない場合があるので注意。

コンパイルは、公式版の場合はサンプルプログラムのMakefileを見ればいい。
libftdiの場合は

gcc -o hoge hoge.c -lftdi

とやる。

libftdiのbitbang.cの簡単な解説

libftdiのサンプルとして添付されている「bitbang.c」について。
「bitbang」は「bitを叩く」という意味なのか、つまりはパラレルポートのbit毎のON-OFFをするモード。 一番簡単に使えるモードだろう。
このプログラムは、全1bitをON、OFFしたあと、1BitだけをOFFにして1bitずつシフトしていく。
プログラムを見てもわかるように、PC側でON-OFFをしているためPCの処理の影響を受ける。
なので、必ずしも思ったタイミングで動くわけではなく数msぐらいの誤差があるみたいだ。

#include <stdio.h>
#include <unistd.h> //sleep, usleep用
#include <ftdi.h> //FTDIチップ用

int main(int argc, char **argv)
{
    struct ftdi_context ftdic; //ftdi_contextの宣言
    int f,i;
    char buf[1]; //入力用バッファ

    ftdi_init(&ftdic); //FTDIチップの初期化

    f = ftdi_usb_open(&ftdic, 0x0403, 0x6001); //FTDIチップをオープン

    if(f < 0 && f != -5) { //エラーとトラップ。-5はftdi_sioが動いていた時のエラー
        fprintf(stderr, "unable to open ftdi device: %d (%s)\n", f,  ftdi_get_error_string(&ftdic))
        exit(-1);
    }

    printf("ftdi open succeeded: %d\n",f);

    printf("enabling bitbang mode\n");
    ftdi_enable_bitbang(&ftdic, 0xFF); //すべてのビットをbitbangに設定

    sleep(3);

    buf[0] = 0x0;
    printf("turning everything on\n");
    f = ftdi_write_data(&ftdic, buf, 1); //00を書き込み。つまりすべてOFF
    if(f < 0) {
        fprintf(stderr,"write failed for 0x%x, error %d (%s)\n",buf[0],f, ftdi_get_error_string(&ftdic));
    }

    sleep(3);

    buf[0] = 0xFF;
    printf("turning everything off\n");
    f = ftdi_write_data(&ftdic, buf, 1); //00を書き込み。つまりすべてON
    if(f < 0) {
        fprintf(stderr,"write failed for 0x%x, error %d (%s)\n",buf[0],f, ftdi_get_error_string(&ftdic));
    }

    sleep(3);

    for(i = 0; i < 32; i++) {
        buf[0] =  0 | (0xFF ^ 1 << (i % 8));
        if( i > 0 && (i % 8) == 0) {
            printf("\n");
        }
        printf("%02hhx ",buf[0]);
        fflush(stdout);
        f = ftdi_write_data(&ftdic, buf, 1);
        if(f < 0) {
            fprintf(stderr,"write failed for 0x%x, error %d (%s)\n",buf[0],f,  ftdi_get_error_string(&ftdic))
        }
        sleep(1);
    }

    printf("\n");

    printf("disabling bitbang mode\n");
    ftdi_disable_bitbang(&ftdic); //bitbangモードを終了

    ftdi_usb_close(&ftdic); //デバイスを閉じる
    ftdi_deinit(&ftdic);
}

LEDを光らせてみる

それぞれのbitで直接LEDを駆動できるので、1kΩぐらいの抵抗を介して、LEDを接続するとLEDをON-OFFできる。
ただ、USBに接続した時点(初期)状態で全bitに5Vが出ている。でも、出力電流が少ないのかLEDはほとんど光らない。

FT245_LED.jpg

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